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長期計画なき武蔵野市政、住民の英知生かせ~代表発行人の千思万考

  • むさしのニュース代表発行人
  • 2022年11月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年12月11日

武蔵野市が保健センターの増改築を計画しています。市議会の予算で自民党会派は慎重な審議を求め、付帯決議を付けたため、市議全員による協議会が開かれたものの、山本あつし市議による不規則発言が繰り返され、到底議論が深まったものとは言えませんでした。10月8日には住民向けに「保健センター増築および複合施設整備基本計画説明会」が開かれ、参加してまいりました。出席者から設備規模の妥当性を問う質問が出ましたが、説明する市の職員は沈黙され、曖昧なまま終わってしまいました。


武蔵野市の保健センター

保健センターの増改築の予算規模は40億円と大きく、かなり立派な施設です。予算が青天井ならばどれだけ資金を投入してもよいのですが、残念ながら予算には限りがあります。質疑応答ではこれまでの保健センターの利用者数や、今後の武蔵野市の人口の推移予測に基づく利用者数の見通しなどを説明するよう求める声が上がりました。利用者数の予測がわからなくては増改築する保健センターの規模の妥当性を判断することはできません。残念なことに武蔵野市の職員からは明確な説明がありませんでした。


武蔵野市の大型公共施設の整備全般にいえることですが、吉祥寺駅南口の武蔵野公会堂の改修、吉祥寺駅北口の駐輪場などについて長期のビジョンに基づいた計画が示されず、その場しのぎのような場当たり的な対策に終始している印象を持ちます。武蔵野公会堂を巡っては約10年前から、南口の危険なバス通り、道路に列をなす乗降客待ちのバス、停留所対策、公会堂に隣接する老朽マンションの建て替えなどを含めた総合的な対策を検討してきた経緯があるにもかかわらず、最近開かれた住民を交えたワークショップでは武蔵野公会堂の耐震補強しか焦点をあてていません。


吉祥寺駅北口の駐輪場市有地の取引も駅北口をどのように再開発していくのか長期のビジョンが示されることなく、唐突に売買が行われました。土地を取得したレーサムは、転売をビジネスモデルとしており、さらにレーサム本体も株式公開買い付け(TOB)により中国・香港の投資ファンドに買収される可能性が濃厚です。土地の所有者が変わった後に、吉祥寺駅北口の開発にどのようにコミットさせていくのか見えないままです。


武蔵野市には長期的な街づくりの計画を立案し、状況の変化に応じて更新、よりよい計画にする継続力がないと言わざるを得ません。武蔵野市の4000万円退職金事件問題に参画したこともあり、地方自治のの専門家でもあった故加藤富子女史はこう記しています。


―地方自治の本質は、国や都道府県という上部団体の監督を受けず、“住民自治”“住民コントロール”にあるのに、日本の地方自治体のチェック機関の実態が呆れる程弱体化しているのである。地方自治法では、地方自治体の執行機関の監視批判を行うチェック機関として議会と監査委員の両制度が設けられている。行政の経営管理については、アマチュアである議員は、現在のように複雑に膨大化し、専門分化して高度化した都市行政についてのチェック機能を十分に果たす事が出来なくなってきている。―


高度化する地方自治体の課題に、議員だけで対処しきれなくなっているならば、様々な専門性や知見を持つ住民の英知を結集させることが必要です。ネットの集合知を現実世界で再現するイメージです。無作為抽出で一定数の住民を集め、市政の様々な課題について議論し、提言を受けることは必要ではないでしょうか。多摩地域24自治体の住民討議会の導入状況を筆者が調べたところ、過半数の13自治体で導入済みでした。この分野で武蔵野市は遅れており、早急な制度導入が必要だと考えます。

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