子どもの権利条例、国連条約に基づき議論を~代表発行人の千思万考
- むさしのニュース代表発行人
- 2022年10月2日
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9月29日に「武蔵野市の子どもの権利に関する条例を学ぶ会」」の第3回目の会合に参加してまいりました。8月末に掲載した問題点に引き続き、今回は会合の状況をお知らせしたいと思います。
3回目となる学習会は10人前後の住民の方に加えて、市議会議員5人が参加して活発な議論が交わされました。お忙しい中ご参加された市議のみなさまには感謝申し上げます。住民と市議との議論の中で「1994年に批准された『児童の権利に関する条約』を読んだ上で条例を検討しているのか」との質問がありました。参加された市議の1人、山本ひとみ議員は慌ててカバンから冊子を取り出してご確認されている様子で、議員を含む出席者の大半は条約を十分に読んでいるとは思えない印象でした。
そもそも子どもの権利に関する条例は、1994年の条約を受けて地方の事情に合わせた条例を作る建前になっています。条約をすべて紹介するのは割愛しますが(全文は外務省ホームページ)、例えば第1部の第5条は以下のように記しています。
第1部 第5条
締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利、義務を尊重する。
条約は明確に父母の指示・指導責任を意味しています。武蔵野市の子どもの権利に関する条例の検討委員会は最終報告で「子どもの休む権利」を打ち出し、親や教育現場からは戸惑いの声が上がっています。子どもの休みたいという主張を権利化して、親や教師の指導を排することが条約の趣旨にそぐわないことは明らかでしょう。わが子の将来に責任を持つ親が条例に違和感を持つのは当然のことです。
条例の検討委員会でなぜこのような内容としてしまったのでしょうか。1つは「武蔵野市子どもの権利に関する条例検討委員会」の人選に問題があったといえるでしょう。そして検討委員会の委員が条例のもととなる条約を正しく認識していないのだと推測します。条例の当事者となる保護者(主に父母)を交えて十分に討議したうえで結論を出すことが必要です。行政側の考えに近い保護者ばかり集めて議論がなされないよう、無作為で適当数の保護者を選ぶことが大前提です。
武蔵野市は来年4月に子どもの権利に関する条例の施行を目指しています。約30年前に批准した条約に対する条例ですから、いまさら急ぐ必要は全くありません。それに1558区市町のうち、2022年時点で61しか子どもの権利に関する条例は制定していません。都内でもわずか4区市町です。条例検討委員会の責任者を交代し議論をやり直すことを求めます。
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