子ども条例、明文化が生む無味乾燥な親子関係
- むさしのニュース代表発行人
- 2022年6月8日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月9日
6月4日に武蔵野市の吉祥寺東コミュニティセンターで開催された「武蔵野市子どもの権利に関する条例検討委員会中間報告」に参加しました。市の子供家庭部の女性職員が資料を配布し、検討委員会の説明と意見募集(パブリックコメント)の話をしただけで、市側が熱意をもって市民に理解を求めようというよりは、職務上淡々とこなしている印象を持ちました。説明を聞き感じた疑問点を列挙したいと思います。
疑問1 条約→法律→条令の順では?
子どもの権利をめぐっては、まず基本的人権を国際的に保障するための条約「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が1989年に国連で採択され1990年に発効、日本は1994年に批准しました。国内では現在、子ども基本法の審議が進んでいます。法制化の前に急いで地方自治体が条例化する必要性はありません。この点について市職員に質問しましたが答えはありませんでした。子ども基本法と武蔵野市の子どもの権利に関する条例が重複した内容なら問題はありませんが、矛盾した場合はどうするのでしょうか。
疑問2 権利化することの弊害
条例の骨子案を目に通して最初に感じたのはそこはかとない違和感です。いうまでもありませんが大半の大人や親は、いままで「子供は愛しきもの」「大事にする対象」として接してきたと思います。私が感じたのはそれを突然、権利と義務の世界に引きずりこませた違和感や嫌悪感かもしれません。言葉を選ばすに申し上げれば、「日本国民はこんなことまで条例化しなければわからないほどバカと思われていたのか」との気持ちです。
普通の国民(市民)は子供との関係において暗黙のうちに、良識を持って対応し、条例として明文化できないデリケートな問題にも対処してきました。あえて条例に文字として定義することで、無味乾燥な人間関係、親子関係とならないか危惧しました。
疑問3 検討委員会のバイアス
条例の検討委員会の一般公募枠は、その名の通り希望者を募り市側が選ぶ仕組みです。もともと人権運動に関心の高い人が応募する傾向にある以上、一般の市民の感覚とはかけ離れた「特別な市民」による意見の集約になります。したがって、子どもの権利に関する条例が幅広い市民にとって重要なものと考えるならば、無作為抽出による市民参加で広く意見を聞く必要があります。それを実現する制度として「市民討議会」がありますが、近隣の市の中では武蔵野市のみがこの制度を持っていません。「市民討議会」を市民参加の重要なツールとして活用し、子どもの権利に関する条例など重要な案件に活用して頂きたいと思います
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