無作為抽出のススメ~代表発行人の千思万考
- むさしのニュース代表発行人
- 2022年6月26日
- 読了時間: 2分
武蔵野市では近年、市民参加(公募)の会議体が増え喜ばしいことだと思います。しかし、公募のやり方をみるとこれが民主主義かと首をかしげざるを得ないケースが多く見受けられます。幅広い市民の意見を会議体に反映させるには無作為抽出で選ぶことが必要です。
6月29日に第1回目の懇談会が開かれる「多文化共生推進懇談会」には市民も委員として参加します。4月に公表された市民委員の募集要項によると、最終的に市長が作文審査により決めるとしています。このようなやり方では、松下玲子市長や武蔵野市にとって都合の良い考え方を持つ人を選ぶ可能性が高く、幅広い市民の代表というよりは、左派活動家の「プロ市民」の代表になる可能性が高いと思われます。これでは民主主義にふさわしい幅広い市民の意見を反映させていくことは難しいでしょう。会議体に市の意向に沿って動く「御用学者」である近隣の大学教授などが有識者として加われば、完璧な市誘導型の会議体になります。これでは駄目なのです。
それではどんな方法があるのでしょうか。多摩地区の約10市で採用されている「市民討議会」のメンバー選びに使われている「無作為抽出」による方法です。考え方を市側がチェックすることはありませんから、多様な市民が参加することになります。準備期間を考えるとすぐに市民討議会の制度導入は難しいですが、武蔵野市の会議体の市民委員を無作為抽出で選ぶのは今すぐにでも実施できるはずです。もちろん無作為抽出といっても年齢や性別など合理的な範囲内で抽出対象の母集団をグループ分けすることは可能です。
1980年代の古い話ですが武蔵野市で「4000万円退職金事件」というのがありました。在職中の役職に関係なく市職員は4000万円以上の退職金をもらえたとの制度です。これに異を唱えた土屋正忠氏が当時の革新市長に対抗して市長選に出馬。退職金の引き下げを争点として戦い、僅差で破って当選を果たしました。一連の騒動後、革新市長は「(退職金4000万円は)市民参加の市民クラブの皆さんの同意もあってやった事。市民の合意も得ている」と嘯き(うそぶき)きました。プロ市民だけの市民参加は、特定の団体の意向や利害を市民参加の名のもとに推し進め、首長との癒着を招き、一般市民とはかけ離れた市政を招く恐ろしいものなのです。

「まやかしの市民参加による民主主義もどき」を民主主義へと一歩進めるにはまずは市の会議体の参加者を無作為抽出で選ぶことです。これぐらいのことをやらずして何が民主主義でしょうか。民主主義を大事にする市民の皆さん、市に要求しましょう。無作為抽出を。
Comments