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ペットボトル、排出量最多に

  • むにゅー編集長
  • 2022年5月8日
  • 読了時間: 4分

更新日:2022年5月9日

武蔵野市内のペットボトル排出量が増えています。市が公表した「令和3年版事業概要 廃棄物の抑制・再利用と適正処理」によりますと、2020年度の排出量は530トンにのぼり、ここ10年で最多になりました。武蔵野市は排出量の抑制を狙ってペットボトルや缶などの回収を隔週に変更しましたが、効果があがっていません。

■不便にして使わなくさせる狙い

■ペットボトルのゴミ増加、全国平均上回る

■外れた思惑、点検・見直しが必要


導入2年目で排出量増加

ペットボトルなどの回収を隔週に変更したのは2019年(平成31年)4月からでした。市民に周知するためのゴミカレンダーを印刷後、複数の誤植があることが判明し、市職員が誤りの部分に正しい文言を記載したシールを手作業で貼って修正した経緯がありました。通常の業務時間内では作業が終わらず、超過勤務が発生。笹井肇副市長(当時)は2020年9月17日の市議会決算特別委員会で「令和2年2月7日から26日までの期間でおおむね延べ170人が従事をし、時間数延べ700時間を要した」と説明しています。当初からトラブルに見舞われた隔週化でしたが、狙いについて松下玲子市長は2019年6月の市議会で「市民の皆様に、やはり発生抑制というものも考えていっていただきたい」(浜田けい子市議の一般質問への答弁)と述べています。また、朝日新聞の2021年3月に掲載されたネット記事 でも松下市長は以下のように語っています。


「以前、ペットボトルの回収を毎週から隔週に変えました。不便だとおしかりも受けたのですが、ごみが発生するから不便を感じるのであって、ごみの発生が少なくなれば不便は感じない。まず、ごみを少なくすることを考えていただきたいのです」


つまるところ、回収の頻度を減らせばゴミが家庭にたまるので、住民の側はゴミを出さないように行動するようになるだろうと松下市長は考えたようです。ところが、武蔵野市が公表した「令和3年版事業概要 廃棄物の抑制・再利用と適正処理」によると、2020年度に市内で排出されたのペットボトルは530トンで、19年度の477トンから1割増えました。過去10年で最も多く、ペットボトルの回収を隔週に変更する前の2018年度の501トンを上回りました。隔週制の導入初年度こそ減ったものの、導入2年目は排出量が大きく増えてしまいました。

武蔵野市1割増、全国平均は3%増

人口とゴミ排出量は比例するため、増加は人口増が原因の可能性もあります。そこで市が公表している「収集人口」でゴミ総量を割り、1人あたり排出量を求めたところ、2020年度の1人あたりペットボトル排出量は3.59キロとなり、19年度の3.24キロと比べて1割増、1人あたりでみても過去10年で最多です。排出量が増えているのはペットボトルだけではありません。隔週に移行する前の2018年度と比較すると、古紙、ビン、缶、ペットボトルのすべてで全体の排出量、1人あたり排出量ともに増加しています。


全国と比較しても武蔵野市のペットボトル排出量は伸びています。ペットボトルリサイクル推進協議会の資料によりますと、2020年度に全国の市町村が分別回収したペットボトルは29万5000トンでした。2019年度の28万5000トンと比べて3%の増加で、1割増の武蔵野市は全国平均を上回っています。2020年度は新型コロナウイルスの感染防止で緊急事態宣言が発令され自宅で過ごす時間が増えました。その影響で家庭からのゴミ排出量が増えたとの推論も可能ですが、武蔵野市の増加率は全国平均を上回っていることから、不便にして使わなくさせるとの狙いは的外れで、住民サービスの低下を招いただけといわざるを得ません。


効果がないなら施策見直しを

SNSでは武蔵野市民と思われるアカウントによる「ゴミがたまって困る」「隔週に戻してほしい」との投稿が散見されます。あくまで1つの推論にすぎませんが、隔週の回収になったため、使い終わったペットボトルはかさばらないようにつぶして保管するようになり、かえって見た目の量が減ってしまい、意識せずドンドン消費するようになったのかもしれません。


ペットボトルの使用を抑えようとの取り組みそのものは環境保護の観点から歓迎すべき施策です。なぜ松下市長の思惑が外れたのか多様な市民の声に耳を傾け、逆効果になっている現状について松下市長をはじめ市のごみ総合対策課は早急に検証、是正することが必要ではないでしょうか。正しい施策だから市民は従えではなく、市民の声に向き合っていただきたいと思います。


武蔵野市の資源ごみ回収の頻度変更のお知らせ

令和3年版事業概要 廃棄物の抑制・再利用と適正処理

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