住民監査請求を却下、重くなる市民の責任
- むにゅー編集長
- 2022年4月6日
- 読了時間: 3分
武蔵野市の自治基本条例の制定手続きが自治基本条例に抵触していた可能性がある問題で、市民団体「武蔵野市の住民投票条例を考える会」が提出した住民監査請求を市は却下しました。請求期間を過ぎているのが理由です。市が公表した監査結果は市民の側に行政チェックの責任があるとの前提にたっており、大きな問題をはらんでいると考えます。
■そもそも自治基本条例の懇談会とは
■そんなこと市民ができますか
■議員のチェック機能強化を
条例の中身を決めた懇談会
武蔵野市は自治基本条例の制定にあたり、平成28年に本来法律又は条例に基づき設置されなければならない懇談会を要綱に基づき設置しました。委員に対しては218万4千円を税金から支出しました。違法な懇談会に対する支出は違法であるとして住民監査請求が行われました。懇談会の素案をもとに条例が制定され、19条に住民投票制度に必要な条例は別途定めるとしていることから、令和3年12月の住民投票条例案が市議会に上程され、市を二分する議論の末に反対多数で否決されました。
違法な支出を知ったのはいつ?
懇談会の違法性が明らかになったのは、2月初旬の産経新聞の報道でした。住民団体側は報道を受けて情報公開請求し、委員に報酬が払われていることを知ったとして、監査請求に踏み切りました。武蔵野市の監査委員は遅くとも平成30年には知りうることが出来たとして請求は時効であると却下しました。
監査委員は過去の裁判例もあげながら、情報公開制度により住民は適時必要な情報を得られるようになっており、住民側も必要な情報を得るよう関心を持って積極的に文書を開示し情報を得るべきだとの前提にたっています。そうすれば期間内に手続きは出来るはずだったとの主張です。しかしながら日常生活を送る市民が常々市政に対して疑いの目をもって監視し、情報公開請求して検証するのは果たして現実的と言えるのでしょうか。大いに疑問です。
市議の役割はますます重要
問題になった自治基本条例の懇談会には、違法性に気付かず市議2人が委員として参加していました。市民を代表し行政のプロであるべき市議会議員が誰一人違法性に気付かないようでは、二元代表制の片翼として行政をチェックするとの役割を十分に果たしているとはいえません。
違法な懇談会への支出は本来返還されるべきものであり、住民団体側は住民訴訟の準備を進めています。今後は法廷の場で争うことになりますが、住民監査請求を巡る訴訟で住民側が勝訴するのは1割弱とされています。1審の地方裁判所では住民側が勝訴しても、高裁、最高裁と進むにつれて行政側勝訴に覆るケースは少なくありません。裁判所も行政側には一定の配慮をした判決を下すようです。
結局のところ、市民は選挙において正しく業務遂行をする首長、専門性を持ち市民目線で行政をチェックできる議員を選んでいくのが最善です。武蔵野市の松下市長は左派イデオロギーの実現ばかりに熱心で、その実現のためにはルールの抜け道を探すことも厭わないような姿勢が垣間見えます。市議会は市長寄りの議員が約半数を占め、本来のチェック機能を果たせていません。さしあたり保守・中間派の市議で統一会派を結成して発言力を高めていくのは一つの解決策でしょう。そして来春の市議選では議会構成を変え、緊張感のある市議会にしていくことが欠かせません。
住民監査請求の決定書
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